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創業者インタビュー

  • 2016/10/31 UP

    category:製造業

    株式会社 スタイルブレッド 代表取締役

    田中 知 氏

    "「料理にパンを」こだわりの冷凍パンが提案するのは、パンのあるライフスタイル"

    http://stylebread.com/

事業紹介 創業のきっかけ 事業が成功した理由 失敗から這い上がった… 座右の銘 
将来の夢、志 これから創業に挑戦す… 

事業紹介

 スタイルブレッドは、高級ホテルやレストランで提供される料理に合わせるための食事パンをつくっています。天然素材や製法にこだわった質の高い冷凍パンとして仕上げます。

 また、最近ではパンを中心とした「賢い食事スタイル」を考え、家庭の食卓の中にパンがあるという、新しいライフスタイルの提案にも力を入れています。

創業のきっかけ

 元々は、曽祖父の代から始めた町のベーカリーでした。あるとき、出会ったシェフから、「料理のためのパンを焼いてほしい」という依頼を受けたことがきっかけで、フランス料理に合う食事パン作りへの夢が広がりました。

 平成12年に研修のために渡米し、そこで冷凍パンの最先端技術に感銘を受けました。それを日本に持ち込んで、フランス料理に合う食事パンとして、天然素材と製法にこだわった冷凍パン作りを始めました。

事業が成功した理由

こだわりの天然素材を、パン職人の技でマニュファクチャリングした「冷凍パン」

 この事業を始める前は、私も一人のパン職人として朝早くからパンを焼く日々を送ってきました。今では工場で冷凍パンを作っていますが、やはりどこかに「パン職人としての矜持」をもっていたいものです。

 元々、「料理に合うパンをつくりたい」として始めたこともあり、パンづくりには素材や製法に強いこだわっており、冷凍パンの命ともいえる自家製の天然酵母を、低温でじっくりと熟成させる製法を取っています。

 本来なら、一つひとつの工程をすべて一人のパン職人が行います。しかし、それでは大量生産することができないのです。

 渡米して学んだ、最新の冷凍パン技術を活かして、こだわりの品質をもったパンをまるでパン職人が手作りしたかのように、工場で大量生産できるようにしました。

 

 

日本のホテルが抱える課題に、冷凍パンでソリューションの提案を

 私が渡米してパン作りの研修をしていた頃、アメリカのホテル業界では、ホテルはコアな事業だけに注力し、パンの提供をはじめ本業に付随する業務は、アウトソーシングすることが主流でした。

 一方で、日本のホテル業界では、パン作りを含めてホテルが本業とそれに付随する業務の多くを抱え込んでいる課題がありました。パンに注目すると、週末と平日のパンの消費量に大きな差があります。しかし、日本の多くのホテルでは、週末の需要に対応するためだけに人手を多く抱えてしまっていたのです。

 この課題に対して、提供するパンを誰でもすぐに調理可能な冷凍パンにすることで、パン作りをアウトソーシングすることができると考えました。ホテル側としては、パン職人を確保しなくても、量が必要になれば、必要な分だけすぐに温かいパンを用意することができます。逆に、平日パンの需要が少ない日には、そのまま冷凍保存しておくことができるのです。

 本格的な味はもちろん、冷凍パンの使いやすさも、ホテルの経営課題の解決につながっていきました。振り返ると、アメリカの事業モデルを参考にして、冷凍パンビジネスのスキームを私なりに日本のホテル業界の課題に合わせたことによって、多くのホテルに支持されたのではないかと思います。

失敗から這い上がった経験談、苦労から学んだ経験談

「常識に毒されていた」、全く売れない本格的な冷凍パンを評価してくれたのは…

 私が冷凍パンを始めたとき、そもそも日本には「冷凍パンを食べる」文化がありませんでした。当時の常識的な冷凍パンといえば、ベーカリーで販売されているパンに対して、「2級品」的な扱いでした。それを「高級品」として売り出そうとしているため、そもそも販売先がなかったのです。

 「しっかりと地元で実績を固めてから、やがて東京の有名ホテルなどに進出して行こう!」

 私はある意味で常識的な販売戦略を立てました。はじめは群馬を中心に北関東、甲信越に営業をかけていきました。

 しかし、営業に行ったホテルでは、ことごとく断られたのです。パンの味こそ認めてもらえたのですが、「うちは東京のホテルじゃないからさ…」と、本格的過ぎる印象が、そのホテルで提供している料理とのバランスや価格帯、さらには宿泊している客層が望んでいるニーズから大きく外れてしまったことが、断られた理由と考えました。

 決して少なくない投資額に対して、冷凍パンは初月の売り上げが、私と同世代のサラリーマンの「お小遣い一月分」程度だったのです。この先どうしたらいいか、まったく先が見えない状況に追い込まれました。

 けれども、この失敗こそが、「常識に毒されていた」私の固定観念を打ち壊しました。当面の販路として、無理に「地元で実績を固めること」にこだわるのではなく、逆に東京の高級ホテルに営業をかけることに活路があるのではないか…。それは群馬をはじめとする営業先のホテルで、断り文句として言われ続けた「うちは東京のホテルじゃないからさ…」の言葉から感じました。

 さっそく、高級ホテルのリストの一番上から順に営業をかけていくことにしたのです。もちろん、高級ホテルへのコネクションがなかったので、まずは資料を入れたダイレクトメールを送り、ホームページに記載された電話番号に電話を入れ続けました。すると、地元では無反応に近かった反応が、意外にも返ってくるようになったのです。

 地元に営業をかけていた頃、その反応から地元のホテルに使ってもらえるパン作りに切り替えた方がいいのか、と考えたこともありました。しかし、「自信をもってこだわった冷凍パンであれば、評価してもらえるところがあるはず!」と信念をもってパンづくりに励んだことが、まずは東京の高級ホテルが提供する本格的フレンチに合うとの評価をいただき、販路を生み出すことにつながりました。

座右の銘

「失敗するなら、早くしろ!」

 どのような事業であっても、大なり小なり失敗はつきもので、そこに正解はないと考えます。どこかで失敗を経験するのであれば、取り返しがつかなくなるところまで失敗する要因をごまかし続けるのではなく、早々にリカバリーできるうちに失敗する方が、その後の事業の成長につながります。

 事業を進めるにあたっては、いつでも「PDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)サイクル」を意識して行うことが大切です。そのためにも、自分の心に、「失敗するなら、早くしろ!」と常に置くようにしています。

将来の夢、志

「夕食にもパンを」家庭でもパンを当たり前のように食べてもらえる生活習慣を

 ホテルを中心に、こだわりの冷凍パンを夕食で食べてもらえるようになりました。けれども、これはあくまで「特別な外食」であり、「毎日の食卓」ではありません。

 私の夢は、家庭向けの冷凍パンを普及させ、夕食時の家庭の食卓にパンが自然と並ぶ食文化をつくることです。朝食や昼食では、パンを食べることが多い家庭でも、夕食のメインディッシュに合わせてパンを食べる家庭は、まだまだ少ないと言わざるを得ません。

 夕食のメイン料理に合わせた「脇役」の選択肢として、いつかはお米と並ぶ位置でパンを当たり前のように楽しんでもらえたらと思います。どうやったら夕食にパンを食べていただけるのか、こだわりをもって、今も試行錯誤を続けています。

 それを実現するためにも、家庭で手軽に本格的な味を楽しむことができる冷凍パン作りと、パンのおいしさの普及に励んでいきます。

これから創業に挑戦する人へ一言

創業したいと思っているなら、やったほうがいい!

 もし、創業に挑戦したいと思っているのであれば、そのアイデアを思い切って実行に移してみましょう!

 計画段階で「やるか、やらないか」と複雑に考えすぎてしまって、重い腰が上がらないことがあります。しかし、やりたいことがあるのであれば、「やる!」と思いきることも大切です。

 失敗も、早い段階であれば十分に取り戻すことができます。正解はありませんから、まずは挑戦してみてはいかがでしょうか。

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