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創業者インタビュー

  • 2015/10/01 UP

    category:医療、福祉

    有限会社COCO-LO(桐生市) 代表取締役社長

    雅樂川 陽子 氏

    "予防医療・介護のために、多くの創業者を"

    http://coco-lo.net/

事業紹介 創業のきっかけ 事業が成功した理由 失敗から這い上がった… 座右の銘 
将来の夢、志 これから創業に挑戦す… 

事業紹介

 COCO-LOは2005年に設立し、県内に訪問看護ステーション、居宅介護事業所、通所介護事業所、リハビリジムなど、合わせて8事業所を運営しています。「お互いさま」の風土で働きやすく、人材不足と言われる介護業界ではユニークな仕組みで、充実したマンパワーが活き活きと働ける環境を作っています。

 2009年、北関東の中小企業では初めて、厚生労働省「従業員の子育てサポート起業」(くるみん)認定をはじめ、多数の賞を受賞しています。

創業のきっかけ

これからはリハビリがビジネスになるよ!

 創業にはまったく興味がなかったのですが、作業療法士として病院で働いていた時に、経営のご経験のある患者さんから、「これからビジネスになるよ」とお話していただいたことがきっかけです。起業が面白そうだと感じ、その日の夜に本屋で起業の本を買いました。

 群馬大学工学部(当時)で、第一回目の起業塾があり、参加しました。そこで知り合った公認会計士さんに相談し、起業したらやりたいことを書きためたノートを元に、事業計画を作成していきました。

 

終わりがある人生、だから挑戦したい!

 また、祖母を自宅で介護し、看取った経験から、人生には終わりがあることをあらためて切に感じました。同時に、亡くなるまでの間に好きなことをいっぱい楽しんでいた祖母の背中から、私もまた私の人生でもやりたいことをやる決意を持ちました。

 

事業が成功した理由

働ける環境をつくり、全力で本業に

 私とスタッフとの間で、コミュニケーションのミスマッチが起こらないように、アンケートを取って働いている人の意見を聞いています。

 まだ子どもがいなかったときに、保育参観・授業参観のための有給休暇をくださいと言われて驚きました。年次有給休暇を使うものだと思っていましたが、子どもが風邪をひいて病院に連れて行ったらすぐに終わっちゃうから、別の休みが欲しいと言われて、「まだ休むんだ…」ってビックリしました。実際に、子どもができてみれば、「呼ばれることが多いもんね」って分かりますが、当時はまだ分かりませんでした。こういう要望をひとつずつ制度化することで、働くお母さんが安心して働ける環境を確保して、本業の方に全力で走ってもらいたいという今の経営戦略につながりました。

 

作業療法と経営は同じもの

 作業療法では、人間の心と体を学びます。これは、経営も同じです。経営のテクニックや数字的なことは後から学びましたが、作業療法を通して、経営する上で最も大切な人間を先に学んでいたことが、ユニークな職場の環境設定などに活かされているのではと思っています。

 

失敗から這い上がった経験談、苦労から学んだ経験談

一歩を踏み出す勇気が出なかった…

 創業に踏み出す前は、本当に怖かったです。早ければ、介護保険制度が始まって、私が25才くらいには創業したかったのですが、当時の私にはその「一歩」を踏み出す勇気がありませんでした。そこからの3~4年間は、やりたいことをやれないジレンマを抱えたまま勤めていました。一歩は踏み出せないけど、やりたいことはここにはないと思っていました。

 

子育て中でも働ける環境をつくって

 いざ始めるとなると、今度は看護師の確保に東奔西走しました。訪問看護では、一人で地域に出向き、判断しますので、正看護師を採用しようと考えていました。しかし、当時はまだ訪問看護が制度化されたばかり、認知度も地域に出ている看護師も少なかったのです。条件のいい看護師は、条件のいいところに勤めますから、29才で立ち上げたような社長の会社なんて不安定で来ないじゃないですか。それなら、子どもを持ったお母さんにターゲットを絞り、働ける環境にしようと考えました。

 面接に来てくれた方に、「どうやったら働けますか?」って伺って、たとえば「月・水・金曜で」と言われれば、他の人が不平等にならないように、それを制度化していきました。働き方のパターンを作って、それを事例化することで、働く方に選択肢を提供できるようになりました。

 

プレッシャーには向き合い方を変えて

 雇った人が増えると、壁を感じました。まずは従業員が10人になり、それを超えたら次は30人、というように段階を経て考え方を変え、向き合い方を変えるタイミングがありました。また、建物を持つプレッシャーにどこまで耐えられるか、最初の建物を持ったときは、プレッシャーから倒れて、実際に入院もしました。それ以降は私も慣れてきて、今では必要以上のプレッシャーを感じることはなくなりました。

 

若い女性だから、どうせ失敗するだろう

 女性起業家ならではの経験といえば、創業当時はまだ女性の起業家が少なかったこともあり、変に注目されては、あまり信用されませんでした。「どうせ失敗するんだろう」と思われているのも分かるし、まともに話をしてもらえないこともありました。

 また、若い女性が始めた信用できない訪問看護だからといって、利用者さんの知らないうちに家族が話し合って、事業所が私どもから他のところに移っていたこともありました。利用者さんから「あれ、来ないの?」と電話があり、移動させられたことをそこで伝えるということもありましたね。今では設備も充実し、介護保険への慣れや理解も進んだことで、信頼を少しずつ積み重ねて解決することができました。

座右の銘

「心と心をつなぐ」

 これは、会社のミッションでもあります。介護福祉の業界に飛び込んでくる方は、元々人のお世話にしたい、役に立つことをしたい、人が好きだという思いを持ってやってきます。しかし、ストレスの多い職場、環境の中でだんだんと人に疲れ、仕事が嫌いになってしまう人が少なくありません。

 とはいっても、シンプルに考え、人が好きか嫌いかでいったら、やっぱり私は人が好きだというのではと思っています。

 地域には助けが必要な人がいて、その方をサポートしているご家族がいて、本人やご家族を助けられる知識や技術を持った専門職の人がいたり、専門職の方々をサポートする業者さんがいたり、多くの方がいます。それぞれのご苦労があり、孤立して踏ん張っている人もいます。しかし、そんな方々が心と心でつながれば、もっと多くのことができるのではないかと考えています。

 私どもは、地域の「心と心をつなぐ」存在になりたいのです。私どもの会社名、「COCO-LO」の「COCO」と「LO」の間にある「-」こそ、まさに心と心をつなぐことを表現したものなのです。

 

将来の夢、志

この仕組みを業界のスタンダードに

 介護業界における働きやすい環境づくり、仕組みづくりに貢献できたらと思っています。今後の人口減少に伴い、働き手が減った時に介護業界は選ばれにくい職種だと思います。それを選ばれる職種、楽しくやりがいを感じられる仕事にすべく、私どもの仕組みを業界のスタンダードにしていきたいです。

予防医療・介護のために、多くの創業者を

 また、リハビリが地域に浸透することで、医療費や介護費の予防につながります。医療費や介護費を抑える取組をすることが、将来的には不可欠になってくると考えているからです。専門的な資格を持った人たちが、もっと起業することによって、この予防にさらに貢献できます。

 私も起業するときに、起業について勉強したわけではありませんから、同じような方に対しては現場に注力できるように経営面のサポートなども考え、怖がらないで参入できる環境を作りたいです。

これから創業に挑戦する人へ一言

 創業は、怖いものではありません。一歩踏み出したら、これまでと違う世界、違う自分と出会えます。創業する上で感じるだろう絶望、しかしそれをはるかに上回る感動があるのです。

 創業する前に見てきた世界とは異なる世界が、創業した後には広がっています。それは劇的に変化するというよりは、ゆっくりと感じていくものです。創業してから、あるときに振り返ってみた時に、「変わっていたんだな」と気付くことができるでしょう。

 

創業は、人生を豊かにします。

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