創業者インタビュー

  • 2015/03/31 UP
  • category:卸売業、小売業
"伝統産業の作り手と買い手の関係をデザインする"

株式会社 伝統デザイン工房(前橋市)

高橋 万太郎

http://www.dento-dk.jp/

http://www.s-shoyu.com/

事業概要 創業のきっかけ 事業が成功した理由 苦労から学んだ経験談 
座右の銘 将来の夢、志 これから創業に挑戦す… 
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  • 事業概要

 伝統デザイン工房は、醤油の販売をしています。

 醤油というと大きいサイズでの販売を想像されると思いますが、私どもではすべて小さい100mlの共通サイズにして、全国でいろんなメーカーの醤油を販売する、醤油専門店です。

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  • 創業のきっかけ

営業に苦戦する伝統産業にスポットライトを

 他の誰もやっていないことに挑戦したいという気持ちがありました。2006年に結婚を機にサラリーマン生活にピリオドを打ち、新婚旅行を兼ねて全国を訪ねるうちに、営業面で苦戦する伝統産業に注目しました。営業職の経験から、自分の納得できる商品を販売したいという思いが高まり、思い切って創業しました。

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  • 事業が成功した理由

全国の醤油の蔵元に足を運び、生の情報を得て醤油をセレクト

 創業から百年を超えるところが珍しくない醤油業界。しっかりと顧客がある蔵元は、急激な増産をすることもできないので、ネットという新たな販路に頼る必要がなく、結果的に、インターネット販売に注力していない、という現状がありました。

 そこで、とにかく、地方の質が高い醤油屋さんに何度も出向き、自分の目で見て、肌で感じて、舌で味わうことで、生の情報を得て、醤油のセレクトをするようにしました。

 歴史と伝統がる業界ですが、意外なことに、ほぼ100%の蔵元さんが初回訪問で顏を覚えて下さり、100mlでの販売にこだわるこちらの思いや考えをお伝えすると、大抵は、「どうなるか分からないけど、まぁ、やってみなよ!」という感じで、私のような若者の提案に遊び心を持って付き合って下さいます。

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作り手と買い手のあるべき関係のために

 私どもは、100mlサイズのミニボトル以外での販売をするつもりはありません。なぜなら、醤油屋さんと消費者が本来あるべき関係は、醤油屋さんから消費者が直接醤油を購入できる関係だと考えるからです。元々、100mlサイズには、「お試し」という意味合いがあります。ネット通販では試飲する状況を作ることは、現実的には難しいです。
 

 そこで、100mlサイズのミニボトルにすることで、お試し感覚で使っていただくことが出来るようになります。お試しをしていただく中で、お気に入りの醤油に出会ってもらえたらとうれしいです。

 大サイズで販売してほしいという要望をいただくこともありますが、そのときは醤油屋さんから直販によって購入していただきたい、とお答えするようにしています。

 このように、本来あるべき醤油屋さんと消費者の関係づくりのお手伝いができることに、少しずつ手応えを感じています。

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  • 苦労から学んだ経験談

創業支援や補助金を知らずに苦労…

 創業時にお金のやりくりには、大変な思いをしました。創業に関する支援や補助金についての知識はなく、すべて自費による経営をしていました。もちろん、知っていれば支援や補助金を活用しようと思ったかもしれませんが、そもそも当時の私には、その発想自体がありませんでした。

 

飛び込みで醤油メーカーに体当たり

 これまで約400軒の醤油さんを回っていますが、ほぼ飛び込みで営業しています。実は、創業当初は、全国の醤油をインターネットで販売したいと考えていた時期がありました。電話でアポをとろうとすると、「いや、うちはいらない」と切られることがとても多かったです。おそらく、蔵元直営のホームページ製作の営業などと思われたのでしょう。

 また、私自身も、ネットに転がっている膨大な情報を見ても、どの醤油蔵元に訪問すべきかの判断ができませんでした。

 結果、最終的に行き着いたのは、現地に飛び込んで、地元のお醤油屋さんを訪ね、実際に醤油の質を確かめ、こちらの想いを伝えるという方法でした。

 

ギリギリのコストで全国の醤油屋さんの元へ

 創業した当時、ちょうど高速道路料金が1000円で利用できる時期でした。それを利用して、1日あたり5000円の営業コストで、全国を飛び回っていました。高速料金、ガソリン代を差し引くと、手元にはほとんど残らず、ギリギリの状態で全国の醤油屋さんに見学に伺っていました。しかし、ちゃんとした醤油を自分の目でみて、きちんとセレクトしたいというこだわりがありましたので、創業当初の努力の積み重ねは、全国の醤油屋さんとの人間関係を築く上でも、とてもいい経験となりました。

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ラインナップが充実すれば勝負になる!

 創業して少し経つと、8銘柄くらいの醤油が揃ったのですが、売り先がまったくない状況でした。それでも、最初の段階は売れなくてもいいと覚悟を決めて、商品を増やすことだけに注力しました。増えた商品数を持って他の地域に行って、私はこんなことがしたいと熱意をもって話して、少しずつ商品のラインナップを増やすことができました。

 現在は、77銘柄の醤油を取り扱っています。

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  • 座右の銘

「現場主義」

 私は、実際に現場に出向いて感じることを大切にしたいです。創業当初は、醤油を大サイズでも売ろうと考えていた時期がありました。しかし、作り手さんと「現場」でのコミュニケーションを深めていくにしたがって、大サイズでの販売は他の人と同じ売り方をすることになると思いました。醤油に対する「現場」の熱い思いを多くの人に届けて、購入していただき、「お試し」として使っていただくためには、やはり小さな100mlサイズのミニボトルにこだわった売り方をしてよかったと思っています。

 また、「現場」で気付いたことですが、職人さんは商売が苦手という先入観を持っていましたが、意外にも商売も上手だと気付きました。ただ、初対面のお客様を獲得したり、そこから商売を広げていったりするきっかけがないだけだということが分かりました。「現場」とのコミュニケーションを通じて、ますます私が営業職だった経験を活かして、力を発揮していきたいという思いが高まりました。

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  • 将来の夢、志

優れた日本の伝統産業を「デザイン」する

 日本各地に存在する伝統産業を「デザイン」していきたいです。現在は伝統的な食文化、中でも醤油にスポットを当てた事業展開ですが、他の食文化、衣文化、住文化など、日本には多くの優れた伝統文化があります。醤油を販売することを通じて得た経験を他の伝統産業の「デザイン」に活かしていきたいです。

 

「若い力」の発信力に期待して

 そのためには、組織を大きくしていきたいですね。特に売る力、情報を発信する力を、これからの「若い力」に期待したいです。人材の確保という点では、こちらから出向かなくても、伝統産業への熱い思いを持った方とのいい出会いがあるはずだと思っています。

 

全国に作り手と買い手がつながるスポットを

 伝統産業を広めていく上でも、直営店をさらに増やしていこうと考えています。まずは東京から、やがて47都道府県に1つずつ、地域の伝統産業の作り手と買い手がつながることのできる場所を作っていきたいです。

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  • これから創業に挑戦する人へ一言

本気なら、ぜひ創業を!

 創業してよかったという思いがある一方で、創業したけれども残念ながらうまくいかず廃業していく友人がいて、安易に「起業して」ということは出来ません。しかし、日々楽しく仕事ができますし、今からサラリーマンに戻れるかっていうと、絶対に私は戻れないと思います。

 自分のやりたい仕事を思う存分やりたい、本気で創業を考えている方がいれば、ぜひ創業されることをお勧めしたいです。

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交通の利便性がコミュニケーション力に

 群馬という地域は、創業するにはとてもいい地域だと思っています。醤油を見に東京からも来て下さいますし、私もすぐに東京に出向くことができます。実際に顔を合わせてコミュニケーションが取れ、とてもいい関係を構築しています。メールだけでのコミュニケーションでは、その場では関係が築けたように思っても、実際にはその関係が続かないことが少なくありません。その点、群馬という立地は動きやすく、またお客様も足を運びやすいため、創業にとても向いています。

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