創業者インタビュー

  • 2017/01/20 UP
  • category:宿泊業、飲食サービス業
"「売り」を売るためのサプライズ、大切な人に贈りたくなるギフト販売を目指して"

株式会社 H.I.D.(ル・パティスリー・ヒデ) 運営責任者

佐藤 秀雄

http://www.lepatisserie-hide.com/

創業のきっかけ 事業が成功した理由 失敗から這い上がった… 座右の銘 将来の夢、志 
これから創業に挑戦す… 
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  • 創業のきっかけ

 お菓子づくりに携わるなかで、ぼんやりと将来は自分の店を持ちたいと思ったことがきっかけです。初めこそ安易な目標でしたが、いつか店を持ちたいという志を持って、具体的にアイデアを固めていきました。

 お菓子づくりを始めてから5年ほどは、他店を見ながら、イメージを具体化させていきました。さらに5年経った頃には、実際に独立するためには何が足りないのかを洗い出し、協力してくれる仲間や業者との関係づくりを進めました。次の5年で、店長として新店舗の立ち上げに携わり、これが「独立への予行練習」となり、35歳で独立しました。

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  • 事業が成功した理由

より多くのサプライズで、女性が喜ぶ「手作りのバウムクーヘン屋」という場所の提供

 店舗を運営するにあたって、常に意識していたことは、「手作りのバウムクーヘン屋」というイメージづくりです。女性がくつろぎ、喜ぶ場所を目指しました。

 そこで、女性が喜ぶサプライズを「売り」にしようと考え、そのためのブランド力をつけることに集中しました。商品のブランド力を高めるためにも、前橋市内でもとりわけシックな雰囲気のある川原町に出店を決めました。実際にご来店いただき、女性が喜ぶサプライズを感じていただくことで、それが口コミとして広まっていきます。

 お客様は本格的なバウムクーヘンを楽しもうとご来店されます。ただ、お店に入るとバウムクーヘンに加えて、ショーケースに並ぶケーキがサプライズを演出します。バウムを買いに来たお客様にとっては、新たなサプライズが加わるので、お客様の満足度をより引き出すことにつながります。

 開店してから半年くらいは、口コミによって新規のお客様のご来店も増えていきましたが、1年を過ぎたあたりから、少しずつ新規のお客様が少なくなってきたように感じました。

 これは、サプライズによる満足感の積み重ねが、「思わず教えたくなるオススメの店」から、「誰にも教えたくない、自分だけが楽しみたい店」に変化していったからだと考えています。

 

まずは今ある知識だけで目標を立て、経験を積むことで目標を変化させる大切さ

 事業を軌道に乗せるためには、「目標」を立てることが大切です。たとえ知識が不足していても、今わかる範囲で目標を立てます。目標から逆算することで、自分が何をすべきかが明確になります。

 たとえば、独立して間もない頃は、店舗や売上を安定させたいと考えていました。しかし、そのためには従業員の生活を安定させることが重要だと気付きます。従業員の生活を安定させるためには、経営を安定させる売上の基盤が必要です。小売だけでなく、卸業も展開することで経営が安定します。

 このように、立てた目標に向かって経験を重ねることで目標は変わるものです。新たな目標を立てるためには、その時点では知識や経験が不足していても、変化を恐れずに挑戦する心を大切にしています。

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  • 失敗から這い上がった経験談、苦労から学んだ経験談

「催事ではよかったのに…」デパートへの出店で商品が売れない理由を考え直す

 ある時、大手デパートの催事で出店したときに、予想以上の手ごたえを感じた私は、実際にそのデパートに出店することに決めました。店舗での販売とは異なり、経験がない中での出店でしたが、催事での売上からある程度は勝負になると考えていました。

 ところが、いざ蓋を開けてみると、それなりに売上を出しているにもかかわらず、赤字だったのです。デパートに出店する上でかかる費用や人件費が、重くのしかかったことが原因でした。

 私はデパートへの出店を取りやめ、販売戦略を練り直すことにしました。この失敗を通して、商品が売れることに明確な理由を見つけられなくても、商品が売れないことには必ず理由があることをもう一度考え直すことができました。

 

日本のギフトの特性を踏まえたブランディングの重要性「焼き菓子を売ること」とは

 とにかく私がこだわったのは、焼き菓子の売り方です。以前勤めていた会社の社長や同僚から学んだことをきっかけに、私自身も時間をかけ、足を使いながら考えを深めていきました。

 お客様に喜んでいただく焼き菓子をつくることは当然ですが、それを多くのお客様にお買い求めいただくためには、日本のギフトの特性を生かした販売戦略が重要です。そのために、私は焼き菓子を包む包装紙、箱や袋などに初期投資の多くを注入することにしました。

 融資をしていただく金融機関の担当者から、「どうして包装紙にここまでの資金を投入するのですか?」と厳しい質問を投げかけられました。私は「包装が地味なお菓子と包装にコンセプトのあるお菓子、同じ味ならどちらを買いますか?」と逆に投げかけました。

 まさにこれこそ「日本のギフトの特性」なのです。大切な人に心を込めた贈り物をするときに、中身はもちろん大切ですが、それ以上に包装も重視されているのです。大手百貨店や有名ケーキ店などでギフト商品がよく売れているのは、おいしい焼き菓子を包む包装がブランド化されているからなのです。

 お客様が大切な人への贈り物として当社の焼き菓子を選んでいただくための、ブランディングへの投資を妥協しなかったことも大きいと考えています。

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  • 座右の銘

「生きているということは、誰かに借りをつくること。生きていくということは、その借りを返してゆくこと」

 これは永六輔さんの言葉です。ただ生きていくというのは、「受け身」の人生です。能動的に生きていくためには、いつでも支えてくれたり、協力してくれたりする方々への感謝を忘れずに、自分から何かをしてあげたいという想いを持ち続けることが大切です。

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  • 将来の夢、志

社会に認められる企業を目指して、それぞれの街の空気感を生かした「次の一手」

 「次の5年」は、少数精鋭ながら売上にこだわっていきたいです。そのための、それぞれの街の空気感を生かした「次の一手」を考えています。

  現在、はじめに出店した前橋市に加え、高崎市と伊勢崎市に店舗を展開しています。各店舗で共通のメニューを提供していても、それぞれの街の空気感やご来店されるお客様によって、売れ筋に大きな変化があるのです。

  これを全面的に生かして、各店舗の個性を明確にしていきたいです。メニューの種類で勝負したり、逆にアウトレット商品を中心に展開したり、街の空気感を生かしながら、地域に愛される店づくりを目指します。

 

プライベートブランド化を進めて、お菓子業界全体が潤うような仕掛けを

 商品の販売において、店舗と両輪をなす卸業では、数で勝負できるスーパー向けのお菓子づくりに挑戦しようと考えています。さらに、小規模で展開している同業他社への卸業も考えているところです。

 お菓子の種類や量を増やしたくても増やせないという私自身の経験から、同様の経営課題を抱える同業他社が多いと思います。当社だけでなく、お菓子づくりに携わる業界全体が潤うためにも、プライベートブランド化を進め、小規模事業者に向けた小ロット生産にも対応できるようにしたいです。

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  • これから創業に挑戦する人へ一言

「できない理由」ではなく、「できるようにするための工夫」を考える

 創業するにあたり、これまでの経験や知識など、自分を信じることは大切です。けれども、自分を信じ過ぎるあまり、自らの可能性を自らの手で閉ざしてしまわないようにしてほしいと思います。

 そのためには、「できない理由」ではなく、「できるようにするための工夫」を考えることを習慣づけることが重要です。自信を裏付ける経験や知識は、行き詰まった時に「できない理由」を考えるために使いがちです。しかし、自分の力を信じて、「できるようにするための工夫」を考え続けることで、必ず道が開けます。

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