創業者インタビュー

  • 2016/11/25 UP
  • category:卸売業、小売業
"業界の地図を一新した「吸極」への挑戦"

有限会社 バースケア  代表取締役

飯尾 守

http://www.bath75caer.jp/hp/profile.html

事業紹介 創業のきっかけ 事業が成功した理由 失敗から這い上がった… 座右の銘 
将来の夢、志 これから創業に挑戦す… 
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  • 事業紹介

 当社は、温浴施設の計画から運営まで携わった経験から発想した、業界初の機能性サウナマット・バスマットの専門メーカーです。汗や加齢臭を分解し、リネン経費を節約できる抗菌サウナマット「プロ仕様+α」や「サウナ下敷きマット」の開発をはじめ、競合他社が真似できない独自の製品開発を得意とする研究開発型の企業です。

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  • 創業のきっかけ

 元々、温浴施設やその施設を利用する方々に寄り添った「顧客満足度アップ・温浴施設のリネンコスト削減」という二律背反するテーマを実現したいという想いがありました。

 平成15年、草津温泉の日帰り温泉施設の企画・運営に携わった経験を生かし、上記テーマを実現できる機能性サウナマット・バスマットの専門メーカーとして起業しました。

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  • 事業が成功した理由

競合他社をライバル視せず、不足する販売リソースを担う仲間として巻き込む

 現在、国内でサウナマット・バスマットを取り扱っている業者は、当社を含めて5社あります。競合他社に対しては、多様な経営戦略を描けますが、私はあえてライバル視せず、良い意味で仲間として考えました。

 競合他社の多くは、元々バスマットメーカーでした。既存バスマットを無理やり「毛足を短く」しただけの「コンセプトのないサウナ室用マット」を製造販売していました。本来、サウナ室はバスマットの使用環境とは異なり、特殊な高熱環境下で使用されるとの考えから、これに合った素材・構造を考え、製品化しました。

 当社の製品コンセプトは「吸極のサウナマット・バスマット」です。本来は「究極」としたかったのですが、一般名称のために商標登録できず、「吸極のバスマット」で商標登録を取得しました。

 他社の追随を許さない品質まで高めた当社製品は、4社ある競合他社のうち、その高い付加価値を認めていただいた2社が取り扱っています。自信のある製品だからこそ、発信方法を考えましたが、競合他社と協力関係を結ぶことで、販路を拡大することに成功しました。

 

リネン会社と協力関係を築き、「導入の障害」に直接アプローチできる営業を実現

 サウナマットの営業で大きな課題となるのが、温浴施設とリネン会社との関係です。全国の温浴施設で約70%のシェアがある「タオル地サウナマット」は濡れやすく、乾きにくい特徴があり、必然的に使用枚数が増えます。これにより、リネン会社に儲けが出ます。一方、温浴施設は使用枚数の増加に比例して洗濯経費がかさみ、経営が圧迫されます。

 しかし、速乾性の高い当社製品をつかうと使用枚数が減り、リネン会社の売上は必然的に落ちます。また、リネン会社は、館内着やタオルなども供給しています。そのため、温浴施設がリネン会社との関係を断ち切れないことも少なからずあり、リネン会社が当社製品の導入を妨げる傾向にあります。

 そこで、私は積極的に当社の製品を導入している全国のリネン会社の中から、地域別に協力会社をつくりました。これにより、当社製品を取り扱うリネン会社を紹介できる営業システムが構築できました。

 この結果、たとえ、営業先の温浴施設と取引するリネン会社が当社製品の導入を拒否した場合でも、温浴施設にとっては、リネンリースの形態のまま当社製品を導入しやすくなりました。

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  • 失敗から這い上がった経験談、苦労から学んだ経験談

今後の市場動向を見据えて、小売業から敷物専門メーカーに業種転換

 起業したての頃は、メーカーから風呂水の消毒剤を仕入れて、自治体が運営している公共の温浴施設に販売していました。当時は自治体数も、販売先になる公共の温浴施設も多くありました。

 しかし、この市場は市町村合併が今後進むことで縮小すると考えました。これにより、競合他社との少ないシェアの奪い合いが近い将来に起こりうると考え、思い切って小売業から敷物専門メーカーに業種転換することを決断しました。

 業種転換してから1年間、売上が大幅に落ち込みましたが、現在では工場を持たないメーカーとして、売上が業種転換当時の約2.5倍になりました。

 

順調に行き過ぎた金融機関からの借り入れに、債務超過で返済に苦労…

 業種転換してから、事業計画を徹底的に見直しました。それを元に、各金融機関に融資のお願いをしに行ったところ、想定していた以上に高い評価を受け、十分な融資を受けることができました。振り返ってみると、今でもお世話になっている私のサラリーマン時代の社長と一緒に金融機関と交渉に当たった経験を活かせたことが、その要因であると思います。

 しかし、これが後から経営を苦しめました。借入金の支払いに追われるあまり、一時的に債務超過に陥ってしまったのです。

 これらの経緯から、経営の専門家から助言をいただき、キャッシュフロー計画書の策定に入りました。専門的なアドバイスやキャッシュフロー計画書に基づいた経営を進めることにより、計画的に返済できつつあります。

 

ブランド力を守るため、「質」を落とした製品をすべて廃棄、多くの不良在庫が発生

 5年目、順調に売上を伸ばしていた当社は、さらに売上を伸ばそうとして、代理店の要望を伺いました。低価格製品がほしいとの声に、素材の質を落として作成しました。しかし、質を落とした低価格製品は、販売直後から大きな問題を抱えます。

 洗濯したサウナマットは、業務用乾燥機に入れて乾かします。乾燥機に大量に投入されるとうまく乾かないものですが、なんとか乾燥させようと、現場では必要以上に乾燥させる傾向があったのです。この過乾燥によって、低品質のサウナマットは、大幅に縮むことになります。

 「究極(吸極)」を目指す私にとって、過乾燥によるサウナマットの縮みが、他の主力製品にも「バースケアのサウナマットは質が悪い」とレッテルにつながる危険性を感じました。「バースケア=高品質・高付加価値」というブランドを守るため、私はすぐに質の悪いサウナマットの販売中止に踏み切りました。

 その結果、私は大量の不良在庫を廃棄することになりました。そのサウナマットを開発・製造するために決して少なくないコストを投入していましたが、ブランドを失ってまで将来の展望を描くことができなかったのです。

 いい製品を開発できれば、必ず市場にその価値を認めてもらえるという信念をもって、開発中だった高価格で高性能のサウナマットの開発を急ぎました。温浴施設の課題である「臭い対策」と「速乾性」、さらに「高い耐久性」を兼ね備えた画期的な製品を、低品質の製品と入れ替える形で市場に投入しました。「究極(吸極)」を目指したこのサウナマットは、その高い付加価値が評価され、今でも当社の屋台骨を担っています。

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  • 座右の銘

「他者の立場に置き換えて考える」

 ものづくりやサービスにおいて、私は「置き換える」ことこそ、すべての原点であると考えます。

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  • 将来の夢、志

製品の質でも、売上レベルでも、3年以内に業界のトップを目指して

 温浴施設の問題点から着想した当社の機能性サウナマットは、競合他社の製品とは一線を画した特長的な製品として市場から高い評価をいただいています。そうとはいえ、売上レベルではまだ競合他社の後塵を拝している現状です。

 将来の展望は、3年以内に機能性サウナマットの専門メーカーとして、売上でも業界トップを目指します。そのために、現在の主力製品である機能性サウナマットの更なる「究極(吸極)」を目指します。

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  • これから創業に挑戦する人へ一言

うまくいっても、うまくいかなくても、常に「ナゼ?」を分析する癖をつけること

 事業を始めると、うまくいくときもあれば、思うようにいかないときもあります。このときに、きっと「ナゼ?」と疑問をもつことでしょう。

 この「ナゼ?」を分析しないと「雰囲気の経営」になり、その経験を次の成功に生かせません。常に「ナゼ?」を分析する癖をつけることで、「裏付けのある経営」ができます。

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