創業者インタビュー

  • 2015/07/22 UP
  • category:卸売業、小売業
"お客様の声を商品にして、地域に恩返しできる名物パンを"

パン工房SYATOA【シャトア】(前橋市)

五十嵐 明子

http://syatoa.com/

事業紹介 創業のきっかけ 事業が成功した理由 失敗から這い上がった… 座右の銘 
将来の夢、志 これから創業に挑戦す… 
  • ――――
  • 事業紹介

 シャトアの名は、目指すものの頭文字(S:食育・医食同源、Y:焼き立て、A:アレルギーにも配慮、T:地産地消、O:美味しさの追究、A:安心・安全)をつなげたものです。シャトアは、食を通じて、皆さまに健康と笑顔をお届けできたらと願っています。

 

ページトップへ
  • ――――
  • 創業のきっかけ

「つくるもの」をやってみたい!

 最初は、自分の足で立って子どもを育てていかなければならない状況になった時に、なにか「つくるもの」をやっていきたいと考えました。「つくるもの」といっても、いろいろな選択肢がありましたが、その中でもパンであれば自分でもやっていけるかなと考えました。パン屋をやると決めた時点で、すでに創業も視野に入れていました。

 まずはパン屋で修行をしました。初めのお店では店長候補として入ったのですが、店舗管理の仕事が増え、思うようにパンと向き合うことができませんでした。そんな時に別のパン屋から声をかけていただき、そちらに転職してパンづくりを勉強しました。設備的には揃っていると言い難い環境でしたが、逆に勉強になると思って10年くらい働きました。

 

機が熟し、周囲の助けで創業へ

 以前から、創業に挑戦してみたいと思ってはいましたが、自分ばかりがそう思っても周りがそうならないと、何度か挑戦しましたが創業できませんでした。それでも、資格を取得したり、できる準備を重ねたりして過ごしました。やがて機が熟し、順調にいろいろな方の助力を得て開店することができました。

 

ページトップへ
  • ――――
  • 事業が成功した理由

お客様の声に耳を傾けて

 お客様のつながりがあって、今があります。お客様からの声を大切にして、お客様が求めるパンを提供する努力を惜しまずにやってきました。この近所の方は、とても舌が肥えていらっしゃいます。以前出していたフランスパンに対し、「味が違うのでは…」と言われまして、そのときはお店を少しの間休んでフランスに修行に行きました。また、ドイツパンが食べたいとリクエストをいただいたときは、空輸で本場のドイツパンを取りよせ、味を研究しました。また、素材は群馬県産を使用し、成分についてお客様から尋ねられたら、細かく説明して、安心して食べていただけるようにしています。

 

グルテンフリーの米粉パンに挑戦

 アレルギーでお困りの方のためには、グルテンフリーの米粉パンをつくりました。赤ちゃんを連れた新米お母さんや妊婦さんなども来店されますが、「シャトアなら、変なものは入っていないから安心!」といってパンを買っていってくださいます。一人一人のお客様に対応して、その声や思いに真剣に向き合うことの積み重ねによって、長くお店に来て下さっているのかなと思っています。

ページトップへ
  • ――――
  • 失敗から這い上がった経験談、苦労から学んだ経験談

苦労しても、たった一度しかない人生を

 開業当初は収入がなく、とても大変でした。開店した日が8月15日だったものですから、他のお店は休んでいて、また炎天下の中でお客様はいらっしゃらずに大変だったことを思い出します。会社というのは収入がなくては継続していけませんからね、そういった時期はずっと我慢していました。ちょっと売れたからといって有頂天にならない、売れなかったからといってあまり落ち込まない、そう思ってひたすら続けました。

 山本有三さんの小説「路傍の石」に、「たった一人しかない自分を、たった一度しかない一生を本当に生かさなかったら人間生まれてきたかいがないじゃないか」という一節がありますが、大変な時にはその一節を思い返しながら、ここまで来る間に協力していただいた方、地域のためにも頑張ろうと思いました。

 

新聞の取材で知名度を後押し

  お店の知名度をどうやってあげようかと悩んでいましたが、新聞の方がよく取材に来て下さって、記事にしてくれたことはとても幸運でした。テーマは街中の活性化だったり、社長インタビューだったり、地域に恩返しというテーマなどもありました。

  あとは商店街のイベントで広告が出るんですけど、比較的少ない額で広告が出せるので、それを活用しながら、少しずつお店を知っていただけたのかなと思っています。

 

アレルギーの方も、パンで笑顔に

 私の友人にひどいアレルギーを持っているお子さんや、小児糖尿病を患っているお子さんがいます。皮膚炎もひどく、表情も暗くてうつむいているし、家族も別人のようになってしまったそのお子さんを思い、とても悩んでいました。小麦粉でつくったパンを食べたくても食べられない、そんなお子さんにも笑顔でパンを食べてもらいたくて、米粉パンを開発しました。グルテンが含まれている小麦粉と異なり、米粉には含まれていませんから、パンをふわっと仕上げるのに大変苦労しました。素材や製法を何度も考え直し、試行錯誤を重ねて、ようやくグルテンフリーの米粉パンを開発しました。私のつくった米粉パンをお子さんがおいしそうに召し上がっていると聞くと、私もつくってよかったなと思います。時々、結婚式場の方などが、「小麦アレルギーの方がいらっしゃるので、米粉パンをお願いします」といらっしゃることもあります。お子さんや妊婦さんをはじめ、アレルギーや病気をお持ちの幅広い年齢層の方においしく食べていただけたらと思います。

 

ページトップへ
  • ――――
  • 座右の銘

「にこにこやさん」

 これは、私の息子が言いました。私には、本当につらい時期がありました。最悪でした。笑うことも忘れていました。生きることをやめようとも思いました。子どもたちの表情も暗く、茫然としていました。

 そんな時期にたまたま通った道にあった看板、「にこにこやさん」。目に留める余裕のない私を尻目に、真ん中の息子がそれを見つけました。

 にこにこやって何を売っているのかな。にこにこを売っているのかな。にこにこをひとつくださいな。はい、にこにこですよ。にこにこを買えたらいいねって。

 息子も重苦しい毎日に必死だったのでしょう、本当にかわいそうな思いをさせているなと思いました。それからずっと私は、パンをつくることを通して、「にこにこやさん」になりたいのです。いろいろな理由で普通のパンを食べられないお客様が喜んで食べていただけるパンをつくって、一人でも多くの方の「にこにこやさん」で在り続けたいと思っています。

ページトップへ
  • ――――
  • 将来の夢、志

地域に恩返しできる名物を

 大変な時でも私を支え、育ててくれた前橋の街、さらには群馬に恩返ししていきたいと考えています。そのためにパン屋である私ができることは、地域の名物を作ることです。今は、ぐんまちゃんラスクをつくって、それを売り出しています。

 今度は、大河ドラマ「花燃ゆ」で群馬県や前橋の街にもさらに注目が集まることでしょう。今は「花燃ゆパン」の商品化に向けて、試行錯誤を続けています。きっと訪れる人も増えてくるでしょうから、その時に私の作ったパンが、前橋の名物のひとつとして、訪れた皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです。

 

お客様の声を商品にして

 他にも、いろいろなお客様の声を伺って、それを商品化していけたらと思っています。そのひとつとして、お客様としてよく来店してくださるM-WAVEのパーソナリティ、青柳美保さんがプロデュースしてくださって、「煮玉子パン」を商品化しました。「地域の名物になるかもしれない、名物になるといいね!」って言って教えてくれたレシピなんですね。そういった地域からの期待、皆さんの応援をいただいて今、一生懸命つくっています。

ページトップへ
  • ――――
  • これから創業に挑戦する人へ一言

 やっぱり、諦めないという気持ちが大事ですよね。その気持ちを持って、一喜一憂しないで、とにかく続けることです。売れたからといって有頂天にならない、売れなかったからといって落ち込まない、それでも腐らずにコツコツと続けることが難しくもあり、大切なことだと思います。

ページトップへ