創業者インタビュー

  • 2015/06/10 UP
  • category:農業、林業
"太田発 植物工業地帯を目指して(自動車部品のものづくり技術で安定した野菜作りを)"

石川工業株式会社(太田市)  代表取締役

石川 英利

http://www.ishikou.com/pc/index.html

事業紹介 創業のきっかけ 事業が成功した理由 失敗から這い上がった… 座右の銘 
将来の夢、志 これから創業に挑戦す… 
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  • 事業紹介

私ども石川工業株式会社は、自動車部品の製造を行っています。パイプの加工、溶接をして、自動車のイスやフレームをメインに製造しています。

また、昨年の10月に創業補助金を使わせていただき、植物工場を立ち上げ、水耕による野菜栽培事業を開始しました。現状は、サンチュをメインに育てています。

※「植物工場野菜」とは・・・土を使わず、土壌の代わりに培養液を使います。密閉された空間で大型空調機を使用し、温度、湿度を管理します。太陽光の代わりに人工的な光を当てて栽培する野菜のことを指します。

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  • 創業のきっかけ

長く地域に貢献するためには…

 植物工場を立ち上げようとしていた当時、弊社は自動車部品の製造を事業の中心としていました。しかし、このままずっと自動車部品の製造だけでいいのだろうか、現在と変わらずに将来的にも企業として継続していけるだろうか、私はこれまでもずっと心に問い続けていました。

 自動車を取り巻く、めまぐるしい環境の変化などを先見すると、やはり自動車部品の製造だけでは、企業として今後生き残ることは難しいと思いました。遠い将来を見据えて、自動車部品の製造以外で社会貢献し続けることはできないだろうかと、あらゆる可能性を探っていました。

 

「道の駅おおた」から植物工場の可能性へ

 平成24年3月にオープンした「道の駅おおた」を立ち上げる時、企画・運営メンバーだった私は、近所の農家と触れ合う機会に恵まれました。これまで野菜を作ることについては、知らないことが多かった私ですが、例えば野菜が取れ過ぎてしまうとやむなく廃棄しなくてはならなかったり、逆に生産量を抑えると足りなくなってしまったり、野菜の特性とか農家の問題点などを知ることができました。

 

 次第に野菜作りそのものに興味が芽生え、「道の駅おおた」で出会った農家との触れ合いの中から、植物工場が地域の農家や農業を変えられる可能性があると考えるようになり、挑戦したいと思いました。

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  • 事業が成功した理由

安心・安全な野菜への高い関心

 やはり、消費者からの安心・安心な食材を求める声に、植物工場の活動を後押ししていただいています。物に対する世の中の流れ、特に食品に対する考え方が、ここ数年で特に変わってきたように感じています。食に関する問題が顕在化し、世間的に注目を集める中で、安心や安全に対する消費者の考え方が、これまで以上にシビアになり、食の安全を強く求める声が高まってきました。

 一方で、植物工場がテレビなどで紹介されるようになり、そこで作られる野菜に興味を持つ消費者が増えてきました。実際にその野菜を食べてみたい、興味を行動に移してくれる消費者が少しずつ増えてきたことが大きいです。

 

地域に植物工場の野菜を広めたい

 また、短期間の実績にとらわれることなく、長いスパンで考えていくと、植物工場は地域に必要とされる存在だと考えています。実際に植物工場で作った野菜を、地域の飲食店やちょっとした直売所などに入れていますが、ほぼ完売しています。

 このことから、一歩ずつ草の根的に消費者の期待に応え、確実に植物工場の野菜が地域に浸透してきたと実感しています。この動きを今後さらに根付かせていきたいですし、さらに花開いていくのではと期待しています。

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  • 失敗から這い上がった経験談、苦労から学んだ経験談

信頼できるメーカーと二人三脚で

 いざ、植物工場を始めようと思っても、何が必要なのかまったく分かりませんでした。必要な施設・設備を手探りで探し、メーカーのホームページから情報を得て、時には展示会にも足を運びました。しかし、実際に設備を目の当たりにすると、想像以上に設備費が高かったのです。

 設備費の増加は、そのまま生産する野菜の価格に直結します。したがって、限られた経営資源をどこにどれだけ投資すべきか、とても悩みました。とはいえ、一番の目的は、安心・安全でおいしい野菜をできるだけ安く提供することでした。弊社の考え方を理解していただいて、設備に対しても過度な投資はしない方針のメーカーさんとの出会いがあり、二人三脚でここまでやってきました。

 私と担当する社員は、そのメーカーさんで3~4か月にわたって、植物工場についての研修を行いました。設備を作るだけ作って、使い方も分厚いマニュアルを渡して「はい、おしまい」ではなく、「一緒にやっていきましょう!」とお声をかけていただいたことは、初めて植物工場に挑戦する弊社にとって本当に心強く、何度となく助けられました。そのメーカーさんのご協力もあり、設備投資をとても低く抑えられました。それによって、生産する野菜の価格も抑えられ、消費者の皆さんに安く提供することが可能となりました。

 

微調整の難しさと品質の安定

 季節や機能の変化を問わず、いつでも同じレベルの野菜を生産できること、それが植物工場の強みではあるのですが、そのためのノウハウを獲得していくことにとても苦労しました。季節によって水や湿度、二酸化炭素などを微調整する必要があるのですが、品質のバラつきが半年を超えてもなお出てしまう状態でした。微調整に失敗すると、生産していた野菜が全滅してしまい、それを見るたびに我が子を失ったような気持ちになりました。

 数々の失敗を経験し、試行錯誤を続けてようやく1年が経ちましたが、ようやく同じレベルの品質を保つ手応えを感じつつあります。今後さらに野菜の品質を安定させ、それを向上できるようにしていきます。

 

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  • 座右の銘

「買う身、使う身」

 これは先代から続く、弊社の理念です。お客様第一主義に徹し、全社員が常に研鑽し、「買って頂く方」、「使って頂く方」の身になって生産に専念し、社会に奉仕したいという考えです。自動車部品の製造でも当然ですが、植物工場で作っている野菜に対しても、同じ思いを持って野菜作りに励み、安心・安全な野菜を皆さんに食べていただくことを通して、今後も社会に奉仕していきたいです。

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  • 将来の夢、志

消費者からさらに求められる野菜へ

 植物工場は、まだまだ消費者の認知度が高いとは言えません。植物工場で野菜を作ること、それが事業として儲かるか儲からないかでいったら、まだまだ改善できる点があり、道半ばといえるでしょう。こうした目先の結果よりむしろ、私は植物工場で作られた野菜をもっと必要とされたい、安心・安全でおいしい植物工場の野菜を食べたい、消費者からの声をさらに広げていきたいのです。

 

太田発、植物工業地帯を目指して

 私たち石川工業株式会社がある太田地域は、工業が支える地域でもあります。地域には工場がたくさんありますが、その中には現在稼働しておらず、休んでいる工場も少なくありません。弊社は植物工場のフロンティアとして取り組んでいますから、この取組が植物工場の成功事例となれば、太田地域の休んでいる工場を再活用して、植物工場に参入したいと考える企業が増えてくるのではと期待しています。

 太田地域に植物工場を増やして、そこで生産される野菜が消費者の皆さんに愛され、いつか野菜のスタンダードにしていきたいという思いがあります。そのためには、弊社の他にも植物工場に参入していただき、共に知名度を高めていけたらと思います。

 

植物工場の野菜を食べる文化の熟成

 植物工場が増えてきた後を考えて、今後は植物工場でつくるには不向きだと言われる野菜にも、積極的に挑戦していきたいです。それにより、他の植物工場との差別化を図りつつ、同時に植物工場の可能性を広げていきたいです。こうした取組を通して5年後、10年後、さらに先を見据えて植物工場で生産される安心・安全でおいしい野菜が、食卓に並ぶ食文化をここ太田地域から発信し、より多くの消費者や飲食店に食べていただき、この食文化を「熟成」させていけたらと思っています。

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  • これから創業に挑戦する人へ一言

ダメだと思わず、できると信じること

 創業するにあたって「ダメ」と思ったら、ダメですね。できると信じること、自分を信じること、それこそ創業にあたっては一番大切です。信じて努力することで、自ずと結果はついてくるはずです。

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