構想



事業計画書にまとめる前に、しっかりした構想を練ってみましょう。

  1. 自分でやりたいことか(自己実現性)
  2. 自分の強みが活かされるか(専門性)
  3. 社会にとって有用か
    (社会貢献・社会に迷惑をかけない)
  4. ライバルに勝てるか(優位性)
  5. 成長分野か(将来性)
  6. 儲かるか(採算性)

など。

また、下記についてもきちんと考えましょう。

―― 事業理念

 事業の存在意義(社会の中での役割)を文章に書いて明確にしておきましょう。
次にその事業を経営するうえでの考え方、即ち、経営理念(顧客に対して、社会に対して、共に働く仲間に対して)を同じく文書化しておくことが重要です。

―― 夢・志

 創業は夢のある事業です。そして夢を現実にしたいという志が不可欠です。
さらに、いつまでに達成するという日付(目標設定)が重要です。夢に日付を入れましょう。それが志を更に強くします。

事業計画



事業計画書とは、事業構想を実現するためのアクションプランです。その意義は次のとおりです。

―― 計画の意義

  1. 事業構想の実現可能性が自分で確認できる。
  2. 潜在リスクを発見して事前に手を打てる。
  3. 支援者や協力者の説得材料となる。
  4. 事業の採算性が予測できる。
  5. 融資を受ける際に必要となる。

事業計画の主な内容は次のとおりです。

―― 商品・サービス

収益の源ですので、商品・サービス戦略は最重要テーマです。商品は次の3つから構成されます。

  1. コア(顧客のニーズを満たすための根本となる機能や価値)
  2. 形態(コアに付随する製品特性やスタイル、品質、ブランド、ネーミングなど)
  3. 付随機能(アフターサービスや保証など、付加的な要素のうち、顧客が価値を認めるもの)


例えば、自動車であれば、「コア」は運搬機能、「形態」は色、形、燃費、速度、安全性など、「付随機能」は保証、リース、アフターサービスなどです。 収益拡大のためには、顧客に3つのうち何を訴求するのかが最重要課題です。

―― ターゲット顧客

誰に売るのか、ターゲット市場を細分化してその中でライバルとの優位性を発揮することが小規模事業者にとって有利な戦い方です。
例えば、高齢者市場、キッズ市場、男性単身者市場などのニッチ市場でトップを目指すのも効果的な戦略です。

どこを狙う

―― 価格設定

 価格は基本的には需要と供給で決まりますが、商品に希少性があれば高めに、日用品であればライバルより多少低価格とします。 創業時はコストプラス法が一つの目安となりますので参考にしてください。 コストプラス法とは、原価加算法とも呼ばれ、ある一定の利益率または利益額を 製品のコストに加えて価格を設定する価格決定方法です。 具体的には、販売価格を決めるのに、売上原価に販売管理費と目標利益を足し、その全体を販売数量で割る、という考え方です。 下記の式を基本として、販売数量予測と目標とする利益を決めて、次の式で販売価格を導いてください。

販売価格=(売上原価+販売管理費+目標利益)/ 販売数量

―― 販路選定

 商品をどの経路で売るかの戦略で、卸業者を通すか、直接消費者に販売するかの選択です。卸業者を通すと販売量は拡大しますが、粗利益率{(売上―売上原価)÷売上}は低くなります。一方で、直接消費者に販売する場合は、販路が狭いため、いきなり大きな売上は期待できないかもしれませんが中間経費がかからないために粗利益率は高くなります。なお、消費者直販ではネット通販なども有力な販路です。取扱商品の特徴を検討して選択してください。

―― 販売促進

 販売促進活動は自社および商品を世間に広めて、売上を拡大するための活動です。営業マンによる活動、広告、チラシ、ダイレクトメールなどは有料販促ですが、メディアにプレスリリースして無料で記事に取り上げてもらう方法もあります。

―― 仕入方法

 製造業では材料を、販売業では商品を仕入れることから始まります。販売業の場合は仕入が業績を大きく左右します。売れる商品を、いかに安く仕入れるがカギとなります。

仕入に当たっては

  1. 売れ筋商品の見分け
  2. バランスある品揃え
  3. 支払条件が重要

となります。

―― 開業時期

 特に販売業では、開業日の選定がその後の事業運営に大きく影響します。売上が最も期待できるボーナス商戦や年末商戦の週末に開業日を設定しましょう。早期に顧客拡大が期待できるだけでなく、その後の資金繰りも楽になります。

―― 他社との優位性

 ライバルとの優位性は次のキーワードで検討するとよいでしょう。

Q(Quarity):品質、機能、色、形、イメージ、ネーミングなど

C(Cost) :買いやすく値ごろ感のある価格

D(Derivery):短納期あるいは季節の品揃えなど

S(Service) :サービスあるいは笑顔、接客、保証など

全てで勝つことは困難です。1つか2つを徹底強化しライバルに差をつけましょう。

事業形態



 創業にあたり、一人で創業するのか、仲間と創業するのかは大変大事なことです。 また、社名や店名などの商号は、事業のイメージを伝える大事な要素となりますので、十分に検討しましょう。

―― 個人事業

 メリットは、意思決定が速いこと、成功の果実は独り占めできること、創業費用が少ないこと、いつでも撤退できることなどです。デメリットは信用面や税制面で多少不利な面があること、全てを自分一人で行わなければならないことなどです。 しかし、創業時は自分一人で創業し、その後に様子を見て法人化するのも良いと思います。

―― 法人形態

 メリットは、社会的な信用が得られること、資金調達が個人事業よりは比較的容易、複数の人で創業した場合は多くの人の知識、経験、人脈が集積できること、税金面で多少有利、形態によっては有限責任であること、などです。最大のデメリットは仲間との能力格差や価値観の違いにより、仲間割れが生じるリスクがあることです。

(株式会社)最も多い形態で、有限責任社員で構成され、一人で1円から設立できます。 
(合同会社)ベンチャー企業に向いている形態で、株式会社に類似しています。
(合資会社)業務執行社員2名以上の無限責任社員と有限責任社員で構成されます。
(合名会社)業務執行社員1名以上の無限責任社員のみで構成されます。
(その他) NPO法人やLLPなどの組合組織もあります。

*有限責任とは、会社が倒産した時などに会社の債権者に対して出資額を限度として責任を負うこと
*無限責任とは、会社が倒産した時などに会社の債権者に対して負債総額の全額を支払う責任を負うこと
*業務執行社員とは、業務を執行する権限を持つ社員(定款で特定の社員のみに限定している場合を除き、原則、全社員)

資金計画・損益計画



 創業に当たっては相応の資金が必要になります。創業時にいくらかかるのか、その後の事業運営にいくらかかるのか、軌道に乗るまでの家族の生活資金は大丈夫かなど、事業の途中で資金不足にならないように十分検討しておきましょう。

―― 投資計画

 投資計画は創業時に必要な設備資金と、軌道に乗るまでの3カ月程度の必要運転資金およびその資金の調達方法の計画です。
自己資金は30%ほしいところです。

別表1 投資計画表

―― 損益計画

 損益計画は3か年計画とすると良いでしょう。一般的には創業初年は赤字、2年次で損益トントン、3年次には創業年次の赤字を超える黒字とするのが目安です。 そして初年次は、詳細かつ具体的な月別計画として月ごとに進捗管理しましょう。

別表2 損益計画の目安

<売上>

各月の特性を勘案して月別に、商品別・サービス別に計画します。

<経費>

経費は売上原価と販売管理費に分けます。

・売上原価は販売業では仕入原価ですが、製造業や建設業では材料費・労務費・外注費・製造経費の4科目です。

・販売管理費は営業経費と管理経費を合わせた経費のことです。

<利益>

重要な利益は営業利益と経常利益です。

・営業利益は売上総利益から販売管理費を引いた、本業の利益のことです。

・経常利益は営業利益に営業外収益を足して営業外費用を引いた、会社が事業活動の結果生み出した総体利益のことです。

<返済>

借入金の返済原資は、損益計画の中で導き出された最終利益に減価償却費を足した額です。
この返済原資の7割程度が返済可能額です。


※なお、設備資金、運転資金以外に、創業に伴う費用(資本金など)や6カ月程度の生活費は別途、準備しておくことが重要です。

別表3 損益計画表